中学生でもわかる偏差値のお話 2

さくら塾日記
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 君津駅南口にビジネスホテルができるという話に進展があったのか気になっているなまはげおじさんです、こんにちは。

 さくら塾のブログへようこそ。

 偏差値のお話の続きです。

追記 10月22日(木)
 データにミスがあるよ、と優しいツッコミをいただきまして、真っ赤な顔をしながら修正いたしました。P.N.ウブヤシキさま、ありがとうございました。
 

 
 

中学生でもわかる偏差値のお話 2

 今日は、偏差値の持つ性質と、受験における偏差値についてお話します。
 
 

偏差値の性質

 例を出しながら、偏差値の持つ性質を3つ紹介しますね。
 
 

異なるテストの結果を比べることができる

 偏差値は、異なるデータを比べることができるもの。

 ですから、テストによく利用されるわけです。
 

 
 前回紹介したとおり、偏差値は「本人の得点」だけで決まるのではなく、「平均点」と「標準偏差」に大きく左右されるものです。

 「平均点」から離れた得点ほど偏差値は高く(または低く)なります。また、「標準偏差」が小さいほど、「平均点」からは離れた得点はとりにくくなります。

 上の例では、右のテストの方が「標準偏差」が小さい値なので、「平均点」から離れた得点はとりにくかったはず。よって、同じ100点でも、左のテストより価値が高い(=偏差値が高い)ことになります。
 
 

 偏差値を利用することで、異なるテストでも、連続する1つのデータととらえることができるわけです。例えば、模試などがそうですね。

 同じ教科の偏差値の推移をチェックすることで、数学が伸びてきたなとか、社会はまだ復習が不十分かなとか、そのような評価をすることができます。

 また、異なる教科についても比較できます。同じ日に受けた模試の数学と社会の偏差値を見て、その時点での仕上がり具合を比べる、なんてこともできるわけです。
 
 

 偏差値は、自分の成績データを客観的に分析できる便利なツールなのです。
 
 
 

受験生が多いほど信頼性は高くなる

 偏差値の性質、2つめのお話。

 前回、こんなデータを掲載しました。
 

 
 平均点より1点高いだけで、偏差値64(笑)。「標準偏差」の値が小さいと、偏差値が高く出やすくなるというお話でした。

 説明用に自分で作った表なのですが、私はこんなひどいデータは見たことがありません。どうしてこんなに極端な偏差値が出てしまったかというと、それは母数(=受験者数)が少なすぎるからです。たった4人ですからね、正直偏差値の信頼性は相当低いんですよ。

 ちょっと人数を増やしてみますね。10人のデータです。
 

 
 4人バージョンとほぼ同じように作成。「平均点」は50、クボくんだけは51点。「標準偏差」はちょっとだけ上がってしまいましたが、まあ許容範囲でしょう。

 クボくんの偏差値を見てください。4人バージョンでは64だったのに、10人バージョンでは72.4にまで上がりましたね。

 偏差値は、そのテストを受けた人が多ければ多いほど、データに信頼性が出てくるんです。言い換えると、人数が少ないと、偏差値の値はあまり意味がないということ。
 

 もう1例。
 

 
 みんなの得点が33点くらいなのに、マヤくんだけが100点満点だったこのデータ。これも10人バージョンにしてみます。
 

 
 人数を増やしたら「平均点」も「標準偏差」も変わってしまいました。うむ、仕方がない。ただですね、9人が33点くらいで低迷している中、ひとり100点だったマヤくんの偏差値が80にまではね上がったことに注目してください。

 4人バージョンでは3人からかけ離れた得点で、10人バージョンでは9人から遠く離れた得点でした。3人と9人。同じ100点でも、10人バージョンのデータの方が、そのすごさの価値は高いですよね。そりゃ偏差値も高くなりますよ。
 
 

 くり返しになりますが、母数(=受験者数)が多ければ多い方が、偏差値の信頼性も高くなります。
 
 
 

偏差値には揺れがある

 偏差値の性質、3つめのお話。

 現在の実力が偏差値70のミナミノくんが、同じ時期に3回外部模試を受けたとします。3回の模試すべてで偏差値70が出るかというと、・・・そうはならないでしょう。67~73程度の揺れがあるのが普通なんです。

 そうですね、イメージとしてはこんな感じでしょうか。
 

±0がいちばんたくさん入っている

 
 「+1.0」とは、今のミナミノくんの実力よりも 1.0 高い偏差値が出ることを示しています。袋の中に「+3」とか「-1.5」などと書いてあるボールがたくさん入っていて、それをエイッと取りだす感じ。

 つまり、ミナミノくんの実力どおりの偏差値が出ることもあれば、それよりも +3 くらい高い偏差値や、 -3 くらい低い偏差値が出ることもありえるわけです。揺れがあるということですね。

 偏差値の揺れの主な原因としては・・・

・当日の体調
 模試に集中できないことも起こりえます
・メンタル面の調子
 緊張しすぎ・ゆるみすぎなど
・得意な単元が出題されるかどうか
 特に数学・理科
・たまたまできが良かった/悪かった

 といったところかな。中学生のみなさんなら、

 「あぁ、わかる」
 「つい最近そうだった」
 「意外に集中できないことある」

 なんて納得してもらえるんじゃないでしょうか。
 
 

 ですから、模試の偏差値にあまりこだわり過ぎるのもよくないですよ。
  
  
  

 偏差値の持つ性質。

 異なるテストの結果を比べることができる、受験者数が多いほど信頼性が高いデータになる、偏差値には揺れがある。

 うまく伝わったでしょうか。
 
 
 

受験における偏差値について

 最後に、受験における偏差値についてふれておきます。
 

 あなたは外部模試を受けたことがありますか?

 テスト結果がまとめられた個票には、あなたの志望校について『現時点での合格可能性●%』なんてことまで書かれてるんですよ。

 ・・・ドキドキするでしょ?
 

 例えば、『〇✖高校 合格可能性40%』と書かれていて、今回のあなたの5科計の偏差値が54だったとしましょう。この意味は、「1つ上の学年で、偏差値54だった人が10人この高校を受験し、4人合格し6人不合格になった」ということです。実際には偏差値50未満でも合格した人はいますし、58だったのに不合格になってしまった人もいます。

 1つ上の学年ではこうでしたよ、というお話なんですね。『現時点での合格可能性●%』については、浮かれすぎず落ち込みすぎず、冷静に受け止めたいデータですな。
 

 ちなみに、模試会社が作成した、高校を偏差値の高い順から並べた一覧表ってあるじゃないですか。あれはほとんどが『60%合格偏差値』です。10人受けて6人が合格できた偏差値。「この高校は倍率が高かったから、偏差値を1つ上げようか」なんて決め方をしているわけではなく、あくまでも実際のデータを元にして作られています。ネット検索すると出てくる偏差値は、そういったデータの裏付けがないので、私はあまり信用していません。
 
 
 
 
 

 以上、中学生にもわかる偏差値のお話、おしまいです。

 最後にアドバイスです。偏差値が上がったり下がったりしても、喜びすぎたり落ち込みすぎたりしないことをオススメします。偏差値はあくまでも そのテストでの数値 ですからね。偏差値に振り回されるのではなく、ひとつのものさし程度に考えてつきあっていきましょう。 

 それでは今日はこのあたりで失礼します。どうぞ健やかな一日をお過ごしください。
 
 
 

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