【なまはげ文庫】『バッタを倒しにアフリカへ』

なまはげ文庫

 
 
 
 本の紹介コーナー『なまはげ文庫』、第4回。

 ちょっとだけ古い本ですが、インパクトは今も色あせない新書をご紹介します。
 
 

 
 
 『バッタを倒しにアフリカへ』、

 これはおもしろかった!

 エッセイ風でかなり読みやすいです。2~3時間で読み終えられるでしょう。
 
 
 

フィールドワークってこうなんだ!?

 著者は前野ウルド浩太郎さん。れっきとした農学博士であり、昆虫学者。専門とする昆虫は、サバクトビバッタ。聞いたことありません? サバクトビバッタ。
 
 

 
 
 このバッタ、1匹だけだとこの写真のような色でそこまで狂暴ではないらしいんですが、複数が密集してしまうとですね、
 
 

 
 
 こんな色になっちゃうんです。

 サハラ砂漠周辺は雨が少ない地域ですが、まれに大雨が降ることがあります。そのあとに大量発生するのがこのサバクトビバッタ。
 
 

 
 
 この大群が通り過ぎた後は、食べられるものは何も残らないらしいです。ピンときた方もいるでしょう。これ、まさに現在発生中で、アフリカ→中東と移動し、どうやらこの6月には中国にまで到達するなんて予測も出ています。ニュースにもなりましたよね。

 三国志の時代から記録が残っているこの『蝗害(こうがい)』、何とか解決できないものかと単身西アフリカのモーリタニアという国に乗り込んだバッタ博士の奮戦記です。ちなみにモーリタニアはタコの一大産地ですな。

 それでは、おすすめポイントを◎で、いまいちなところを△で、それぞれご紹介します。
 
 
 

◎エピソードが規格外

 蝗害の解決に身をささげるなんて表現をすると「お、現代の野口英世?」とまるで偉人のようですが、実際はちょっとした変人かも(←失礼)。書かれているエピソードが、これがもうね、今まで耳にしたことのないようなことばかりで、ツボに入っちゃってもう(笑)。

 楽しみを奪ってもいけないのでエピソードは一切紹介しないで、「まえがき」のはじめの4行だけご紹介しますね。

 100万人の群衆の中から、この本の著者を簡単に見つけ出す方法がある。まずは、空が真っ黒になるほどのバッタの大群を、人々に向けて飛ばしていただきたい。人々はさぞかし血相を変えて逃げ出すことだろう。その狂乱の中、逃げ惑う人々の反対方向へと一人駆けていく、やけに興奮している全身緑色の男が著者である。

 こんな最高のツカミってある???

 どうかしてるを通り越して、むしろカッコイイ笑。
 
 
 

◎ポスドクの実態をのぞける

 大学で4年間学んだあと就職する人が大半ですが、大学院に進学するという進路もあります。院は通っていた大学でなくても構いません。大学院は修士課程が2年、そのあとの博士課程が3年です。

 博士課程を終えたら、正式に「博士」になれます。doctor です。博士課程を終えた人のことをポストドクター、ポスドクといいます。

 ポスドクは本当に大変なんだそうです。大学や研究機関の正規採用職員などの安定した就職先が、なかなか見つからないのだそうです。

 そういった事情もあって、著者の前野さんは西アフリカへ大冒険に出かけることになります。まだ研究者の少ないサバクトビバッタを現地で研究して、それをもとに素晴らしい論文を書いて、研究実績を作ることでどこかに就職しよう……というのが裏事情なのだそうで。

 時間があれば1つでも多くの論文を書き上げたいけれど、生活するにはお金が必要なわけです。国や企業から援助してもらえる研究者なんてほとんどいないのだとか。とはいえ働くことばかりに時間を使ってしまうと、研究や論文のための時間がなくなってしまいます。これは苦しい!

 この本を読むと、そうしたポスドクの苦労を知ることができます。
 
 
 

◎砂漠の民の生活が興味深い

 彼のモーリタニアでのボスは、「みんな研究室に閉じこもってばかりで、現地で頑張ろうとする研究者が少ない」と嘆いていました。前野さんの武器は、圧倒的な行動力。言葉も満足に話せないのにサハラ砂漠での生活に飛び込んじゃう勇気のある人は、そうそういないですよね(笑)。

 ムスリムの国なので、ビールをはじめお酒の類はすべてNGですし、豚肉は食べられませんし、朝には大音量でアザーン(祈りの言葉)が流れます。私は以前マレーシアでアザーンを聞きましたが、テロでも起こったのかと驚くくらいのドでかい爆音でした。

 この砂漠の国では、女性は太っている方が魅力的で美しいという価値観があります。そのため、女の子は幼いころから無理やりたくさん食べさせられる、そんな文化があるそうです。健康に良くないからやめるようにとモーリタニア政府は呼びかけているそうですが、それには私も賛成です。

 砂漠には当然舗装された道はないけれど、熟練のドライバーは轍(わだち)を踏み外さないことで安定した運転をキープするのだとか。轍の上は踏み固められているので走りやすいし、何よりクルマがトラブルを起こしたときに誰かに発見してもらえる確率があがるのだそう。へぇー。

 外国人はお金を持っているはずだからと、前野さんは何かとイヤな目にも遭ってしまいます。しかしまた、一度彼らの中に入ると、何とも優しいもてなしに感激することも。

 詳しくはどうぞ本文で。
 
 
 

◎フィールドワークのおもしろさ

 言葉の通じない現地スタッフとも何とか意思疎通して、バッタが出現したと情報が入ればすぐに現地へクルマで駆けつけ、テント生活を何日も送る。もちろんお風呂なんて入れない。砂まみれの毎日。

 指を使っての食事も多いので、貴重な水を工夫して使うことでみんな手を洗います。さて、どんな使い方なのかは、読んでみて確認してください。

 情報を受けてせっかく何時間もかけて移動しても、肝心のバッタがまったく見つからないなんてこともあります。このままではガソリン代(日本とほぼ同価格)のムダ。さあどうする、ポスドク研究者。

 こう書いてみると、未知の砂漠地帯に乗り込んだ勇気ある若手研究者のエッセイのようですが、本文には孤独なフィールドワーカーの本音がポロポロとこぼれ落ちています。

 高校卒業後の進路についてのひとつの参考になるかもしれませんよ。なるかな?
 
 
 

△ヤマ場がない

 あえていまいちなポイントをあげるとすれば、そうだなぁ……これといってヤマ場がないことくらいかなぁ。短いエピソード集なのでしかたがないんですけどね。
 
 
  

 中学生でも無理なく読める本です。

 オススメしますよ。
 
 
 
 
 

 以上、『バッタを倒しにアフリカへ』についてご紹介しました。
 

さくらっ子
さくらっ子

読んでみたいかも!

 
 というさくらっ子(&ママン)、貸し出しますから声をかけてくださいね。

 それでは今日はこのあたりで失礼します。
 
 
 

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