本の紹介コーナー『なまはげ文庫』、第10回。
2020年に発売されたソフトカバーの本をご紹介します。
子育て本です。今回は、さくらっ子向けではないですねぇ笑
お母さん向け子育て本
著者は児童精神科医の佐々木正美さん。男性。2017年に逝去されています。雑誌に連載していた「子育て相談室」を出版社が編集し直した本のようです。
それでは、おすすめポイントを◎で、いまいちなところを△で、それぞれご紹介します。
◎おだやかであたたかい
文体があったかいです。
優しくて知的なおじいちゃんが、おだやかに語り掛けてくれているかのよう。専門用語は「ADHD」や「アスペルガー」「自閉症スペクトラム」くらいでそれほど出てきませんし、小難しいデータもありません。
静かで落ち着いた小さなお部屋で、佐々木医師と向かい合う相談者のお母さんがいらっしゃって、読者はそのすぐ近くでお話を聞かせていただいている。そんなイメージ。
「さぁ読むぞぉ!」とハナイキ荒く手に取るようなタイプの本ではありません。癒しの1冊。
◎相談がリアル
保護者からの相談のおたよりに、佐々木医師が答えるという構成になっています。テンポよくポンポン答えるのではなく、じっくりと、心を寄せながらお話してくださっています。
読み終わってから気づいたんですが、この本を編集された方は、なるべくよくある、なるべく身近な悩みの相談を選んでまとめたのかも。とてもリアル。日常の中の悩み。子育て中の方なら、どの相談も既視感のあるものばかりで、読み進めるごとに、「あぁ、わかるぅ」「ウチもそんなコトあったなぁ」「このお母さんと呑みに行きたい」なんて感じたりして。
どんなおたよりが掲載されているか、気になりますよね? でもね、相談そのものをここに載せるわけにはいきませんので、章のタイトルを書くことにします。
全6章で、
1.「お母さん」が重い
2.しつけって難しい
3.親子バトルから抜け出したい
4.子どもを伸ばす親になるには?
5.思春期になる前に
6.父親の役割ってなんですか?
いかがです? 興味をひかれちゃうでしょ?
◎経験に基づく深みのあるお話
佐々木医師は、児童精神科医として、学校で起きたいじめの相談にも答えていらっしゃいます。小中学生にかかわる大人として、時間をかけて読みました。
もっとも私に刺さったのは、「いじめは学校で起きますが、おおもとは家庭にあります。」という言葉です。そうかぁ、おおもとは加害者側の家庭にあるのかぁ。
そうなると、うーん、学校でいじめを解決するのが難しいのは、当たり前なのかもしれませんね。学校とは別の公的な機関が、加害者側の家庭に積極的にフォローに入るようにしないといけないのかも。うぅむ。
△中学生verも読みたかった
相談者は、幼児から小学生の保護者ばかり。中学生の親からのおたよりは、ありませんでした。
現在、中学生のお子さんの子育てで悩んでらっしゃる方からすれば、この本を読んで懐かしい思いに浸ることはあれど、直接的に「今」役に立つことはないかもしれません。
中学生の保護者バージョンも読んでみたかったなぁ。
以上、『この子はこの子のままでいいと思える本』についてご紹介しました。
読んでみたいかも!
というママンは、貸し出しますから声をかけてくださいね。
それでは今日はこのあたりで失礼します。どうぞ健やかな一日をお過ごしください。
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