※この記事は、2019年11月のものです。
実際に『内申点』がどのように変化したのかは、以下のリンク先の記事後半をお読みください。
こんにちは、なまはげおじさんです。さくら塾のブログへようこそ。現中2の入試のお話をしますよ。
このブログでも何度か取り上げてきましたが、現中2生から、千葉県公立入試のシステムが大きく変更されます。
●前期・後期制度の廃止、一発勝負へ。
●1日で行っていた学力検査を、2日間に。
●英語のテスト時間のみ10分延長され、60分間に。
そして。
●『調査書』の内申点の算出方法、変更。
今日はこのお話。
内申点の算出方法はこう変わる
県教委のリーフレットには、このように説明されています。
現行の『算式1』についてはまったくふれられていないですよね。そうなんです、『算式1』は廃止されることになりました。
すなわち、受験生本人のいわば「素内申」をそのまま利用することになります。
おさらい;『算式1』の特徴
ここで、『算式1』とは何か、おさらいしましょう。
下の画像は、県教委の資料を元に私が作成した架空の『調査書』です。
『算式1』とは、現行の入試制度で用いられているもので、
算式1 = 素内申 + 95 - 学年平均
として計算されます。
上の例では、「103 + 95 – 97」となり、『内申点』は 101点となります。
この『算式1』の特徴は、「中学校評定合計平均値」に大きく左右されるということ。「中学校評定合計平均値」って、要するに学年平均のことです。
もし荒れていて授業も成立しないような学年なら、多くの生徒の通知表には、どの教科も「1」「2」「3」という数字が並びますよね。つまり、学年平均は低くなります。すると、結果として受験生には有利になります。
例えば、「中学校評定合計平均値」が 85 だとしたら、先ほどの例では、「103 + 95 – 85」ですから『内申点』は 113点にまで上昇します。
落ち着いた雰囲気で学力の高い生徒の多い学年なら、学年平均は高くなりますから、受験生には不利になってしまうわけです。
もし「中学校評定合計平均値」が 105 だとしたら、先ほどの例では、「103 + 95 – 105」ですから『内申点』は 93点になってしまいます。
受験生本人の素内申だけでなく、学年平均に大きく左右される制度といえます。
ふり返り;『算式1』導入の経緯
そもそも、なぜ『算式1』が導入されたのでしょうか。
実は、ある重大なトラブルが発覚したことを受けて、県教委が苦肉の策として生み出したものなのです。
重大なトラブルとは、中学校ごとの評定のつけ方。
あまりにも大きな差があったのです。
具体的な記述は避けますが、特定の市の中学校だけが、驚くほど評定が甘かった。
学年の4割が「5」、
5割が「4」、
その他が「3」。
どの教科もそんな感じ。
いくらなんでも甘すぎやしないか。
そんな事実が入試後に発覚したのです。
高校側からも、
中学校からも、
受験生からも、
県教委に苦情が寄せられ、検討を始めました。
一部の市の中学校がやたらに甘い評定をつけて、自校の生徒を有利にしようとするのを防ぐにはどうすればよいか。
県教委のとった策は2つ。
●「中学校評定合計平均値」を県民に公開する
●評定のばらつきを調整するために『算式1』を考案
さっそくその翌年の入試から『算式1』が導入され、今に至るわけです。
これから;『算式1』が廃止されるとどうなる?
この『算式1』が、現中2の代の入試から廃止されます。
評価の甘い中学校も厳しい中学校も関係ナシ。もう調整はしません、ということですね。
ここまでは確定のようです。
いわゆる「素内申」のみを合否判定に使うことになります。
そうなると心配なのは、やはり内申点のインフレ化でしょう。
極端な話、全員に「5」をつけたとしても、受験で不利になるようなことがなくなるのですから、いつかの某市の多くの中学校がそうであったように、「5」や「4」のバーゲンセールが起きるんじゃないでしょうか。
この条件を満たしたら「5」、なんてものがあればインフレ化を防げるのでしょうが、そんな条件を県内統一で設定するのは現実的ではありません。
定期テストの問題をまったく同じものに揃える必要が出てくるからです。
そうなると授業進度も足並みをそろえることになるわけで、まぁムリですよね。
インフレ化とまではいかなかったとしても、地域ごとに評定が甘い・厳しめといった傾向は出てくるはず。
そうなると一番困るのは公立高校の先生方でしょう。
こんなことも起きるかも。
入学後、授業についてこられない生徒を調べたら、A市の中学校の卒業者が多かった。
データをあらためてチェックしてみたら、A市はみんな内申点が「5」ばかり。
学力検査の得点を、内申点で補って合格していたようだ。
さて、次年度の入試、合否判定、どうするべきか……。
『算式1』の廃止による変化として、次の2つを予想します。
●内申点のインフレ化
●内申点を軽視・無視する高校の増加
現在、県千葉が内申点を無視、千葉東が軽視(0.4をかけて合否判定)していますが、この動きがさらに広がることになるでしょう。
すなわち、
◎入試当日の学力検査を重視する傾向が強まる
……という流れになっていくはずです。
今回の入試改革により、千葉県内の公立高校は、大学進学を強く意識する高校と、そうではない高校とに、大きく二分されていくことになるでしょう。
それでは今日はこのあたりで失礼します。
実際に『内申点』がどのように変化したのかは、以下の記事でご確認ください。
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