この涼しさなら体育祭練習も快適かな。こんにちは、なまはげおじさんです。
君津市のさくら塾のブログへようこそ。
今日は都立入試の「内申点」についての話題です。丁寧に説明しようとしすぎるとかなり難解なものになるので、なるべくライトな仕上がりになるようお話を進めていきますね。
千葉県の公立入試は受験生に優しい
昨夜から話題になっているコチラのニュース、ご覧になりましたか。
東京都立高校の普通科の一般入試は、募集定員を男女に分けて設定しているため性別によって合格ラインが異なる。都教委は毎年30~40校を対象に是正措置を講じているものの、2015~20年に実施した入試では、対象校の約8割で女子の合格ラインが最終的に高かったことが、都教委の内部資料で判明した。1000点満点で最大243点上回るケースや、男子の合格最低点を上回った女子20人が不合格とされた事例もあった。
短くまとめると、東京都の公立高校入試では女子が非常に不利になるケースがある、という記事です。あ、このニュースを深堀りするわけではないですよー。
東京都の背景
「そもそもどうして男女別に募集定員を設定しているのか」といった東京都独自の事情については今日はパスしますね、長くなるので。
ただ、東京都の背景としておさえておきたいのは、国立高校にも私立高校にも、男子校・女子校が多くあるということ。千葉県とはずいぶん違いますね。
そして、そのうちの人気校の多くが完全型の中高一貫校である、または併設型から完全型へ移行中である、ということも指摘しておきます。つまり、国立・私立の人気校には高校からの入学ができなくなりつつあるのです。特に女子校でその傾向が顕著になっています。将来難関大学への進学を考えている女子が目指すのは都立上位校しかないわけで、近年大激戦が繰り広げられているわけなのです。
都立入試のシステム
さて、ここからが今日のメイン。「千葉県の公立入試は受験生に優しい」ということを、都立入試のシステムと比較しながらお話しようと思います。
仕事柄、いろいろな県の公立入試を調べることがあるのですが、これがもう本当に千差万別、都道府県ごとに大きく異なるんです。
昨年度から新しくなった千葉県の公立入試のシステム、細かな不満こそあれど、受験生にとってはかなりいいものですよ。都立入試と比較してみますね。
「内申点」の扱い
東京都
・3年時の成績のみ調査書に記載
・音・美・保・技は2倍して合否判断に用いる
・「5」✕5教科+「10」✕4教科=65点満点
千葉県
・1~3年すべて記載
・全教科の重みは等しい
・「5」✕9教科✕3学年=135点満点
東京都は、入試で学力検査を行わない音・美・保・技の4教科の内申点を非常に重視します。2倍するんです(それがどれだけ重みがあるかは、このあとわかりますよ)。4教科の教科担任の先生に嫌われたら、もうそれだけで進学できる高校のランクが下がってしまうんです。
「学力検査」:「内申点」
東京都 700:300
千葉県 500:135
東京都も千葉県も「学力検査」は 100点✕5教科 なのですが、東京都はその得点を 700点満点に換算して合否判断に用います。まあ 1.4倍する、と考えればOKですね。
「内申点」についても、東京都は換算値を用います。65点満点を、300点満点に直すんです。
これらの計算により、東京都は「学力検査」:「内申点」=7:3という入試を行っています。つまり、合否判断における「内申点」の占める割合が30%もあるのです。ちなみに千葉県は約21%(県千葉や千葉東は 500:67.5 なので約12%)。お隣さんなのに全然違うでしょ?
音・美・保・技の「内申点」が1下がるのは、「学力検査」何点分のダメージか
東京都 6.593点
千葉県 1点
自分で計算してみてビックリしましたよ。4教科の「内申点」が1下がったら、なんと「学力検査」約6点分のダメージになるんです。
音楽が「3」の受験生がいたとしたら、「5」の受験生に比べると出願した時点で約12点も差をつけられてしまうわけです。それじゃぁ勝負にならないですよね。このあたりが募集定員を男女別に設定している理由の1つなのかも。
上に「4教科の教科担任の先生に嫌われたら、もうそれだけで進学できる高校のランクが下がってしまう」と書いたのは、こういう事情があるからなのです。上位校を目指す人は、「内申点」を強く意識して、4教科の授業に多くのエネルギーを注いでいるのではないでしょうか。そしてこれを嫌って私立中への進学を希望するご家庭が少なくないのも、東京都の特徴ですね。
千葉県では、4教科の先生の顔色をうかがってビクビクするようなことはありません。ありがたや、ありがたや。
以上、都立入試のシステムについて、「内申点」を中心に見てきました。千葉県民のみなさん、やっぱり千葉県のシステムのほうがいいでしょ(笑)。千葉県の公立入試は受験生に優しいんです。
それでは今日はこのあたりで失礼します。どうぞ健やかな一日をお過ごしください。
この記事についてのコメント