子どもの頃の6月って、もうちょっと涼しかった気がするなまはげおじさんです、こんにちは。さくら塾のブログへようこそ。
今日も高校入試についてのお話です。2日連続。
都立入試、出題範囲の縮小が正式決定!
昨日の午後、twitter はこの話題で持ちきりになっていました。TVのワイドショーでも取り上げられていたみたいですね。
ニュースの概要
昨日、東京都教育委員会は定例会を開きました。その中で、来年の都立入試について、出題範囲を狭めることを正式に決定しました。
・・・ここまでは特に驚くことはないのですが、なんと全国で初めて、出題範囲から削除される単元について具体的なアナウンスがあったのです。リンク張っておきますね。NHKです。
「おおむね7か月程度で学習できる範囲」から出題する方針とのこと。
範囲縮小は良くない
このニュースには、全国の県教委が注目したことでしょう。
全国どこの学校も授業時数が不足する中ですが、冬になれば高校入試を行わざるを得ません。となれば、現実的な解決策は2つ。複数の問題を提示して受験生に選ばせるか(選択問題)、または出題範囲そのものを思いきって見直すか(範囲縮小)です。
都教委は後者でいくようですが、この決定は休校期間の過ごし方がイマイチだった生徒に合わせたようにも思えます。これでよかったんでしょうかね。
高校入試の出題範囲を縮小すると、いくらかまずいことが起こるんですよ。
都内の中学校では、出題範囲外の単元は授業でまったく触れないまま、高校入試を迎えることになるでしょう。入試のあとは、卒業準備にかかりきりになって、範囲外の単元の学習はうやむやのまま卒業式・・・。都民のみなさんいかがでしょう? そう思いません?
高校進学後に該当単元の補習をする、そこまで織り込み済みということなのでしょうか。いやいやムリムリ、高校だって授業時数はカツカツでそんな余裕はないはずですもん。特に大学進学を強く意識している高校では、入学までにガンガン自学で教科書内容を進めさせるところばっかり。どこも中学内容が完璧に身についている前提ですからね。
つまり、入試の出題範囲をいたずらに狭めてしまうと、高校での授業についていけなくなる生徒が例年より増えてしまう、そういう弊害が心配されるのです。
範囲縮小で良いのだ
ここまでが、出題範囲縮小についての反対意見。
ここからは、都教委をフォローするわけではないのですが、手の平を返すように賛成意見を。
私は、学習習慣や勉強体力なども基礎学力に含めて考えています。その意味も含めて、「このコロナ禍に遭った子どもたちは、基礎学力の差がすでに相当ついてしまっている」、私はそう見ています。
このひどい形のグラフは、現高2の代の千葉県公立入試、英語のデータです。20点台から80点台まで、どの得点帯にも満遍なく受験生がいるのが分かりますよね。フタコブラクダ型ですらない。驚くばかりの基礎学力の差。
中学校の英語の先生は、本当に授業がやりづらいと思いますよ。同じ3年生の教室の中に、学習内容が簡単すぎて授業が退屈な生徒もいれば、アルファベットが身についていなかったりbe動詞と一般動詞の使い分けができず苦しんでいる生徒もいるわけですから。
これがコロナ禍の前の中学校の現実でした。
今年は、3か月にも及ぶ休校期間のせいで学習から長く離れてしまったために、この基礎学力の差がさらに拡大していると思うのです。具体的な例をあげると、授業に参加する姿勢が崩れてしまっている、集中力がもたない、活字を追えない、先生の説明が頭に入ってこない・・・という生徒が増えているんじゃないかなぁ。
最初は新鮮さからみんな学習に前向きだと思うのですが、しばらくすると授業の雰囲気はおそらく悪くなっていくでしょう。学習意欲なくダラーッと過ごしている生徒が目立つようになるはず。それでも先生方は、例年より速いペースで授業を進めなければなりません。教科書指導を終えねばなりませんし、何より入試があるからです。となると、授業についていけなくなる生徒が例年以上に続出することになります。
来週から中学校は完全再開の予定です。
これをお読みいただいているオトナのみなさん、自分が中学3年生だとして、来週からの学校生活をイメージしてみてください。
タイミングの悪い事に、ムシムシとして天気の悪い日が続く不快な季節になります。多くの生徒が楽しみにしていた部活動や行事が中止になったり縮小になったりする中、うっとおしいマスク着用を強要され、酷暑の8月までひたすら勉強・勉強の毎日・・・。
いかがでしょうか。かなり気が滅入りませんか。
全国どこの中学校でも、7月頃には、積み重なったストレスを背景に「荒れ」につながるようなことが起きるかもしれません。その可能性は、昨年までよりはるかに高いのではないでしょうか。
つまり、現実的に考えるなら、思いきって入試の出題範囲を狭めることで、中学校の指導の現場に落ち着きをもたらすべきなのです。
範囲縮小について反対意見と賛成意見の両方を書きました。出題範囲を縮小するにしろ、縮小せずに問題を選択させるにしろ、どこかのタイミングでゆがみが表面化してしまうことは確かです。千葉県教育委員会がどういう結論を出したとしても、塾のおじさんとしては受験生を全力で支えていきたいと思います。
なぜそこを削るのか???
さて、都立入試ではどの単元を削除することになったのかをチェックしてみましょう。都教委のホームページには以下の表が掲載されています。
国語はほぼ影響なし。
数学は、昨年度までとは問題が大きく変わりますね。中学数学のスーパースター「三平方の定理」を出題しないとなると、関数も平面図形も空間図形も、非常に大きな影響を受けることになるので。おそらく千葉県も「三平方の定理」をカットすることになるのかな。
英語は意外でした。英文法の学習を優先すれば、教科書内容の学習は十分終えられるのに。「関係代名詞」を学ばないまま高校に進学するのかな。高校でえらいことになりそうですな。せめて後置修飾の概念はしっかり身につけてから卒業してほしいな。
社会は予想どおり。公民の教科書、半分バッサリと削る形ですね。国語の次に影響は小さいと見ます。
理科・・・なんだコレ??? 私がこのニュースでもっとも気になったのは、理科の削減単元です。東京都は力学的エネルギーを削るの?
なんで?
君津市・木更津市の中学生たちが使っている教科書は、大日本図書の「理科の世界」。この教科書の第1単元が「運動とエネルギー」、まさに今、その力学的エネルギーについて学校で学んでいるところなのです。11月末くらいから最終単元「地球と宇宙」を学び始めますから、削減されるならそこかなぁと思っていただけに、
なんでなん?
なぜこの単元を狙い撃ちでカットしたのか、私にはさっぱりわかりません。・・・まぁいいや、東京都のお話ですし(笑)。
以上、高校入試の出題範囲;東京都編でした。千葉県の県教委は、このニュースを参考に最終調整の真っ最中のはず。選択問題か範囲縮小か、はたまたそのミックスか。・・・発表は来月になるのかな?
それでは今日はこのあたりで失礼します。どうぞ健やかな一日をお過ごしください。
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